天理市櫟本(いちのもと)駅のほど近く、
ここには在原寺と業平神社がありましたが、明治時代の廃仏毀釈で在原寺が廃され、業平神社は在原神社になりました。
在原業平と父 阿保親王(平城天皇の皇子)が祀られています。
昔、業平と紀有常の娘はこのあたりで育ったと伝わります。
幼い二人は井筒の井戸に姿を映して遊び、愛を育み、やがて夫婦となります。
井筒は、木や石を四角く組んで井戸を囲ったもの。
ところが、恋多き業平は、やがて河内国 高安(八尾市高安)に住む恋人のもとに通い始めました。
それでも、妻は嫉妬もせず、生駒山地を、しかも夜に越える夫の身をひたすら案じるのでした。
平安時代 モテモテの色男で、今も女性の心を掴んで離さない業平ですが、
とても静かな、というか、寂しい侘びしい神社です。
でもそれがかえって妖艶さを想像してしまう、なんとも不思議な場所でした。
ここから30キロほど西 高安に続く業平恋の道を、
ほんの少しですが、辿ってみたいと思います。